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蒼い空の夜明け

《書いてる人》⇒夜明けの敵

「蒼い空に浮かぶキュトス(仮)」
71の大地と10の星が浮かぶ、果てなく広がる蒼穹世界。この日記は、その世界の創世から終末までの「人と神々の物語」についての設定が集まる場です。(最近は停滞しています)

しばらくは「星見の塔トーナメント」についての紀述がメインになると思います。


2007-12-05

 三回戦開始前になんとか間に合ったー。二回戦直後の話から再開。

 これっぽっちも関係ないですけど、劇場版「空の境界」がすばらしい出来だったので、気になっている人は見に行くとよいですよ!坂本真綾演じる両義式がツボでした。

 あとTCG野良試合に商人が参加する予定です。


[][]星見の塔・二回戦直後 はてなブックマーク - 星見の塔・二回戦直後 - 蒼い空の夜明け

 商人は気分がよかった。

 理由はもちろん、騎士が二回戦に勝利したからだ。リジェネレイトスライムが巻き起こす旋風をものともせず、強烈な斬撃を繰り出して勝利した騎士の姿に、観戦席にいた商人は飛び跳ねてよろこんだ。

 騎士の勝利をねぎらってやろうと思い、商人は観戦席を離れた。まっすぐ控え室には戻らずに、騎士が歩いているだろう通路へと小走りで駆けていく。

 二回戦を突破し、だんだんと頭の中に、優勝者に与えられる賞品の想像がふくらんでいく。ノシュトリは明確にはしなかったが、魔女の長ヘリステラが与える褒美なのだから、一人の人間の願いくらい簡単にかなうものなのではないか。

「国一つまるごと買えちゃったりしてね。ふふふふ」自然と頬が緩むのを抑えられない。「これもあの朴念仁のおかげだし、たまには優しく接してあげようかな」

 浮かれたステップで階段を降り、角を曲がったところで彼女は騎士の姿を発見した。

 しかし華々しく勝利した騎士は、剣を地面についたまま膝をついて俯き、まるで敗者のような姿をしていた。

「どうしたの!?」

 慌てて駆け寄る彼女だったが、顔をあげた騎士の目には殺気がみなぎっていて、思わず騎士にたどり着く前にその足を止めてしまう。

「……ああ」騎士は苦しそうにつぶやいた。「なんだ。お前か……」

「何があったの? 誰かに闇討ちでもされた!?」

 今度こそ、彼女は騎士のそばに近寄って聞いた。彼女の見たところ、酷い怪我はないようだが、苦しげな騎士の表情を見る限り、安心はまったくできなかった。

「とにかく、控え室まで行こう」商人はそう言って、姿の見えない魔女の名を呼んだ。

「……だから、なんで貴方たちは気配を消してる私のことを、そんな簡単に呼べるのさ」

 小言を言いながらも、騎士のすぐ近くの壁にもたれかかっていた魔女が姿を現した。

ノシュトリ。こいつを控え室に運ぶの手伝って。よくわかんないけど、すごく苦しそうなの」

「それは呪いよ」ノシュトリは言った。「貴方も知ってるでしょ。呪われた獣を倒した彼が、どんな呪いをその身に受けたか」

「じゃあ……」商人は言う。「こいつは、ここで戦い続ければそれだけ苦しむっていうの? 勝ち続けたとしても?」

ノシュトリ……」騎士がうめいた。「余計なこと言うな。まったく……」

「そうは言ってもね、このまま隠しとおせるものじゃないでしょう。それに、この子にこんなに睨まれちゃったらねえ……」

 そう言って、魔女は商人を見た。

ノシュトリ」彼女は言う。「こいつの呪いをなんとかして」

「それから三回戦に挑むっていうの? いっそ棄権するって選択肢は貴方たちにないの?」

「ないわ」彼女は断言した。「そんな中途半端なこと、わたしもこいつも許せない」

「……俺の意見を無視して話をすすめるな」膝をついたままの騎士が、苦しげに言った。「まあ、俺もこいつと同意見だけどな。戦いを降りる気はない」

 二人ににらまれる形となって、魔女はため息をついて、うなずいた。

「貴方たちには呆れるわ。いいわ、次の試合に出れるくらいには、なんとかしてあげようじゃない」

 魔女はそう言って、商人が首からさげていた青い石の首飾りに指を触れた。

「これ、紀石のレプリカでしょ。これを借りるわよ」

 商人は無言でうなずいた。

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