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蒼い空の夜明け

《書いてる人》⇒夜明けの敵

「蒼い空に浮かぶキュトス(仮)」
71の大地と10の星が浮かぶ、果てなく広がる蒼穹世界。この日記は、その世界の創世から終末までの「人と神々の物語」についての設定が集まる場です。(最近は停滞しています)

しばらくは「星見の塔トーナメント」についての紀述がメインになると思います。


2007-11-09

 アバウトに考えていた話のキャラをTCGに送ったので、いろいろと細かい設定がちぐはぐになりそうです。たぶん、段々変更していくと思います。ご了承ください。

 今日は、掲示板で最近話題の(?)、キュトスの姉妹の仲介者について。

 どの姉妹が騎士を連れてきたのか?


[][]トーナメントへの誘い はてなブックマーク - トーナメントへの誘い - 蒼い空の夜明け

 その日、騎士と商人は森のなかでキャンプをしていた。

 すでに日が落ちて数時間経っている。焚き火の明かりに照らされた商人の表情は暗かった。騎士のほうはほとんど表情を変えずに、黙って火にあたっている。

「はぁ……」

「…………」

「今夜は肉が食えると思ったのになあ……」

 商人の落胆の理由は、一日前におとずれた村での商談が原因だった。例年であれば、作物の収穫が芳しくないその村に商品を売りつけようとしたところ、今年は異例の豊作だったため、ほとんど捨て値で買い叩かれてしまったのだ。儲けで食事を奮発しようという皮算用は、あっけなく崩れた。

「そんなに肉が食いたいのか?」

 騎士の言葉に、商人は力なくうなずいた。

「そうか」とつぶやくと同時に、騎士は懐からナイフを取り出し、近くの茂みに投げつけた。茂みのなかから何かが動く物音がした。騎士は茂みまで歩いていき、無造作に手をつっこみ、それを引き抜いた。その手は、ナイフが頭に刺さって絶命した野兎を掴んでいた。

「肉だ」騎士は言った。

「…………」商人は、騎士と野兎を交互に見つめて「……それで我慢するか」と言った。

 野兎が丸焼きになったころ、商人は「にしても、アンタって本当にすごいね。罠とかなしで捕まえちゃうんだから」と言った。一人で旅をしていたころ、罠を使っても狩りが上手くいかなかった商人から見ると、騎士の技術はすばらしいものに思えた。

「いや、俺がすごいわけじゃない」

 騎士は言った。別に謙遜している様子もない。彼はそういう遠回りな表現を好まない。

 彼はなぜか、森に広がる、深い闇の奥を見つめている。

「どうして?」商人が聞いた。

「野生の獣があそこまで無防備に近づいてくるのはおかしい。人が二人もいて、焚き火までしていたんだぞ」

「言われてみれば……」商人は首をかしげた。「でも、なんでだろ?」

「理由はわからない」騎士は言った。「だが、何が起こったのかはわかる。あの野兎は、俺たちや火を認識できていなかった」

「え、なんで?」

「それは」騎士は、地面にさしてあった先ほどのナイフを拾い上げ、視線の先、闇の奥へと投げつけた。「そこの奴が知ってるんじゃないか」

 今度は、ナイフが飛んだ先に物音はなかった。代わりに、「あれ、もう気づいた?」という少女の声が聞こえてきた。

 その声に、商人は驚いて腰を浮かせたが、騎士はまったく動じずに座ったままだ。

「何もなかった場所に、いきなり気配が現れれば馬鹿でも気づく」騎士はそう言ってから、商人のほうを見た。

「わ、わたしが馬鹿だって言うのー!?」

「くすす」闇の奥から少女の声がする。「元気なお嬢さんね。気にすることないわ、野生の獣だって、今の私の気配は感じ取れないんだから。そこの剣士さんがすごいのよ」

「俺は騎士だ」騎士はそう言って、立ち上がった。「用件はなんだ? お前もあの少年と同じで、俺に用があるのか? この呪われた身体に」

 騎士は、鞘におさまった剣の柄に軽く手をかけて言った。商人も立ち上がっていたが、状況についていけず、おろおろするばかりだった。とりあえず騎士が向いている方向を見るのだが、彼女にはとても、そこに何者かがいるとは思えなかった。何もいない気がする。少女の声は、確かにそちらから聞こえてくるのに。

「少年って、もしかして――」少女は小さくつぶやいた。「ま、その話は、後で聞かせてもらうか」

「もう一度聞く」騎士は言った。「俺に何の用がある?」

「そんなに殺気立つ必要なんてないから安心してほしいな」少女は言った。「殺し合いをしに来たんじゃないんだから。わたしは、貴方を招待しに来たのよ」

「招待?」

「そう。そろそろ自己紹介しておこうかしら。わたしは――」

 闇の奥から、少女が姿を現した。十七、八ほどの容姿に、肩と額で切り揃えられた黒髪、動きやすそうな丈の短い服を身に着けている。片手で、先ほど騎士が投げたナイフを遊んでいた。

 騎士は依然として同じ方向を向き、少女から目をそらさない。しかし、商人は、少女の姿を見てもなお、そこに少女がいるとは思えなかった。目では見えているのに、存在感がまったく感じられない。

「――キュトスの姉妹の58、ノシュトリ」くすす、と少女は笑った。「名前を失くした剣士さん、貴方を星見の塔の戦いに招待しに来たわ」

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