虎すぐるの日記

2010-01-27

魔術の体系(11)

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(目次) (10)<(11)


◇v-iハルバンデフ時代以降

理-魔体系の魔術分類は実戦においても有効だったが、技術の進歩はそれらの境界をあいまいにした。以降はいわゆる戦争魔術に着眼して説明する。


1.第一世代魔術(140~190年代)

二世紀のリクシャマー帝国による常備軍としての魔術師団の創設は、軍事制度のみならず魔術の運用にも大きな影響を与え、多対多の魔術である戦争魔術の概念を生み出した。クゥーゲル平原の戦いやウェルスの城塞守備戦で多人数での呪文詠唱、複唱の強さが明らかになると、複数の術者を必要とする大規模魔術、複唱魔術が誕生した。複唱は術者の個性に依存しない汎用性を追い求め、結果詠唱構造を主とし、術者を従とする魔術となった。複唱魔術の種類は様々であったが、従来の魔術の出力を増幅させるのに利用されることが多かった。一方、魔術を主としない従来の戦争では、魔術は測量や索敵など偵察目的に用いられた。リクシャマー帝国では流動的に行われていたこれら偵察行動を制度化し、偵察・通信・諜報などに魔術師を組織的に利用した。これらが各種詠唱迷彩や詠唱妨害、魔圧隠蔽技術を飛躍的に発展させた。

また複唱魔術は旧来の氷炎術と組み合わされ、ステアト公国では槍塔と呼ばれる紀元槍を模した非常に高い塔が多く建築され、いわゆる多塔文化が花開いた。


2.第二世代魔術(180~270年代)

二世紀末にはマグドール魔術に限らず、ビーンズがあらゆる種類の魔術に利用され、ビーンズの展開さえできればその中身を知らずとも詠唱可能になり、魔術の利用は容易になった。それに伴い戦争魔術は遠距離からの致死量のビーンズの撃ち合いであるという考えが広まり(ビーンズ万能論)、様々なビーンズが開発される。一方、高速でより多くのビーンズを起動することが魔術師の強さとされ、呪文の相殺技術や回避運動といった即術対応は軽視されるようになった。そのため即効性を重視した起動魔術と対比される組み込み魔術はビーンズの容量に合わせて極度に圧縮され、可読性が失われた。


3.第三世代魔術(250~380年代)

三世紀中頃に起こった第三次継承戦争でゲリラ的に用いられたビーンズに対応できずリクシャマー帝国派遣軍が苦戦した教訓から、ビーンズ魔術に柔軟性が求められた。これまでビーンズに詰め込まれていた魔術は工程ごとに分解され、必要に応じて詠唱を切り替える方法が使われた。魔術師には術展開速度だけでなく、術構成をより吟味する必要に問われ、更には大局的な術戦略眼を必要とされた。


4.第四世代魔術(350年代~現在)

術圧平衡機関アルセシリアの軽量化は魔術に革新をもたらした。元々アルセシリアは魔圧ゆらぎの激しい遠洋航海に用いられていたが、本国と魔圧が極端に異なる海外植民地でのアルセシリアの利用や、チャカ大陸からの空間圧縮技術の輸入によってアルセシリアは徐々に小型化されていった。

アルセシリアによる術圧平準化で許容ゆらぎの少ない理論系魔術の実戦応用が容易になり、マグドール魔術や仮定魔術の復権をもたらした。また同時にアルセシリアによる詠唱妨害技術や詠唱迷彩といったこれまで補助的に利用されていた魔術が攻撃用に進歩した。またアルセシリアを詰めた弾を打ち出す臼砲や、それに対抗したアルセシリア半永久術防壁によって旧来の城塞は物理的な意味を失い陳腐化した。