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高島津諦のゆらぎの神話関連ペイジです
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2007-02-24

最果ての二人▽

| 20:28 | 最果ての二人▽ - 我がとうそう を含むブックマーク はてなブックマーク - 最果ての二人▽ - 我がとうそう 最果ての二人▽ - 我がとうそう のブックマークコメント

 皆さんは、『隠されたはじまり以前の一族』という種族を知っていますか? 知らなくとも心配はいりません。今となっては、知っている人の方が少ないのですから。

 『隠されたはじまり以前の一族』は、その名前通りのものでした。はじまり以前なのですから、はじまりよりも前から存在していたのです。(ゼロ以下、という時はゼロも含むように、はじまりと同時に生まれたのだ、という人もいますが、私はそうは思いません)。もちろん、はじまりよりも前にいたのは『隠されたはじまり以前の一族』だけですから、はじまりを作ったのも彼らでした。つまり、創造神です。

 さて、「はじまり以前」は片付きました。でも、「隠された」、とはどういうことでしょう? どこかに、例えば大きな木のウロなんかに隠れていた、なんていう意味ではありません。この世を作ったのですから、いたずらが見つかったトムみたいに隠れる必要はありません。偉い人が亡くなられた時、お隠れになる、というでしょう? 『隠されたはじまり以前の一族』の「隠された」も同じです。とても偉い創造神ですから、この言葉を使うのがふさわしいのです。彼らは、大昔にみんな死んでしまったのです。だから、今『隠されたはじまり以前の一族』を知っている人はほとんどいません。けれど、考えてみてください。『隠されたはじまり以前の一族』は、『隠れたはじまり以前の一族』ではありません。隠されたのです。彼らは、一人残らず、殺されてしまったのです。誰に?

 『隠されたはじまり以前の一族』を滅ぼしたのは、紀元神群でした。

 紀元神群がどうして現れたのかは分かりません。『隠されたはじまり以前の一族』が作ったのかもしれませんし、はじまりでも何でもないどこかから飛んで来たのかもしれません。現れた紀元神群は、『隠されたはじまり以前の一族』を嫌いました。そして戦いが始まりました。激しい戦いは長くは続かず、『隠されたはじまり以前の一族』は大地の底で暮らすようになりました。しかし、紀元神群はそれでも攻撃を止めません。最後のゲルシェネスナで、『隠されたはじまり以前の一族』は、とうとう滅びてしまいました。たった一人を残して。

 傷付いた生き残りを見つけたのは、紀元神群アルセスでした。『隠されたはじまり以前の一族』の街を調べていた時に、倒れている生き残りを見つけたのです。生き残りは体中ボロボロで、とても逃げることはできませんでした。

紀元神群め!」最後の『隠されたはじまり以前の一族』は叫びました。「この、悪魔め!」

 アルセスは何も言わずに、生き残りに近付いていきました。ああ、生き残りがどんな気持ちだったか!

「この!」哀れな怪我人は、悔しそうに顔を歪めようとしました。自分の言葉が、アルセスに嫌な思い一つさせられない、と分かったからです。しかし、顔を歪めるだけの力もないと気づき、ただ目を閉じて叫びました。「殺せ!」

 アルセスは何も言わずに、宿敵に近付きました。そして、手をのばし、覚悟を決めた『隠されたはじまり以前の一族』を、そっと抱き上げたのです。

「ぼくは」と、初めてアルセスは、朝露に濡れた新芽のような声で語り掛けました。「ぼくは、君を殺さない」

 生き残りは何かを叫ぼうとしましたが、アルセスにそっと口を塞がれました。息を止めないように、けれど唇を動かすことはできないように。抱き上げられた生き残りは、何も言うことができなくなりました。

「ぼくは、君を殺さない」アルセスは繰り返します。「ぼくは君を殺さない。他の誰かに殺させたりもしない。絶対に」

 生き残りの口を塞ぐ手が外されました。アルセスが、生き残りの言葉を待っているのは分かりましたが、生き残りは驚きの余り何を言って良いのか分かりませんでした。しばらく、世界で一番静かな時間が流れた後、アルセスは言いました。

「ぼくはアルセス

 生き残りはアルセスの声を聞きながら、ゆっくりと気を失いました。

「君も紀元神群になるんだ」


      ▽


 生き残りが目を覚ましたのは、雲の様に白く柔らかなベッドの上でした。すっかり怪我は治っていて、手も足も動かせます。空気はトーストの匂いがして、隣ではアルセスが椅子に座ったまま眠っていました。生き残りはアルセスを起こそうと思ったのですが、どんな風に声をかけてもおかしな気がしました。皆さんだって、喧嘩した相手と次の日に会った時は何ていうか困るでしょう? 迷った生き残りは、自分が寝ているベッドを叩いて、その音でアルセスを起こすことにしました。バスンボスン、ダウンパウンと何度も音を立てていると、やっとアルセスは寝惚けまなこを開きました。

「おはよう……やっと起きたんだね」

 アルセスが絡まった蔦みたいにもごもごした声でそんなことを言うものですから、生き残りは小さく笑ってしまいました。自然な笑顔が仲直りを意味するのは、『隠されたはじまりの一族』も紀元神群も一緒でした。たとえ、それが戦争でも。

 それから、二人は沢山のことを話しました。ほとんどはどうでもいいようなことで、だから二人は仲良くなりました。そしてある夜、星を見ながら、アルセスは生き残りに紀法をかけたのです。

「君のもともとの名前は、ぼくたちには口に出すのは難しいんだ。だから、紀元神群としての名前を考えてみたんだけど……キュトスって、どうかな」

 小指を絡めて、キュトスは微笑んで頷きました。

 こうして、『隠されたはじまり以前の一族』は最後の一人までいなくなったのでした。

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2006-10-19

揺らがなくなった時が

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 星を看る猫?の言葉を知ってる?

 言葉の意味が揺らぐから、危険な真実が眠ったままでいてくれる、って。

 どんな言葉も、正しくない正解だ、って。

 星を看る猫はそう言った。


 曲解が世界を守ってきた。

 壊れやすい人間?を柔らかく繋げてきた。

 言葉は銃弾なんかよりも容易く相手に届き、けれど刺さる瞬間必ず柔らかく変わる最弱の槍?

 地獄開放?が起きたのは、言葉のタガが外れたからなの。

 ……いいえ、これは少し前後が違う。

 言葉の意味が完全に固定されてしまって、お互いの持つ言葉が決して曲がらず相手を傷つけるようになった。伝えられたくないことまで伝えられてしまうようになった。隠されていたことがあらわになった。全てが誤りか正解かに限定された。盾がないのに矛だけが現出した。

 溢れ出た真実を、世界の裏側に張り付いていた禁忌を、惨劇に満ちた世界を、

 地獄――と、そう名付けた。

 最弱のが、最弱でなくなってしまったのが、地獄開放?の原因。

 私は、地獄は見たくないよ。聞きたくもないよ。あってほしくも、ない。

 だから、ね。

 絶対言語を作り出しちゃいけない。持ってきてはいけない。

 議論屋さんたちがどんなに正確さに恋焦がれたって、カオス?の海で溺れ死んだ人類?たちがかわいそうだって、言理の妖精が誘惑してきたって、そんなことはさせない。最弱のは最弱でありつづけなきゃいけない。

 人間?を守る為に。

ElcinElcin2014/06/15 19:12Holy cosnice data batman. Lol!

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2006-07-20

世界の始まり

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 世界のお話ですか。では、本当に昔のこと、私の考えられる一番最初からお話しましょうね。あくまで私の考え、ですからね?
 昔々の大昔のことです。何かが存在していました。それが元々どんな存在だったのか、誰も分かりません。生物だったかもしれませんし、ただの物体だったかもしれませんし、何かのエネルギーですとか、はたまエネルギーですらない方向性、さもなくば運命のような物だったのかもしれません。当然名前も分かりませんし、勝手に名付けるのも恐れ多いのでとりあえず【】としておきましょう。ということで、この世の始まりには【】がいらっしゃったのです。
 【】が唯一無二だったのか、それとも沢山だったのか、それも分かりません。ともあれ、【】は創造しようとしました。そして手始めに【紀】を作ったのです。【紀】は知っていますね? あらゆる矛盾を内包する、全知全能かつ零知零能、定義した瞬間その定義を越える、あらゆる意味無限概念。【】は【紀】をそういう風に作った、と私は考えています。
 ここで、【】は【紀】より確実に上なんじゃないか……と思うかもしれませんが、違うんです。【】は【紀】を作ったことにより、絶対的な【紀】の製作者ではなくなりました。だって【紀】はあらゆる矛盾を含んでいるのですから。作られたということは作ったということであり、作ったということは作られたということ。なので、本当は【紀】が【】より先にあったのかもしれません。だからさっき、『と私は考えています』と付け加えたんです。ちょっと話が逸れてしまいました。が、とにかく【】は【紀】を作りました。
 【】は【紀】の次に(これも本当の順番は分かりませんよ)、世界を作り、物を作り、生物を作りました。【】をこれからは【創造神】と呼びましょう。

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