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エル・ア・フィリス

エル・ア・フィリス

言理の妖精

 所詮、すべてはいつか消えゆく絵空事なのだ。人も、獣も、草も木も、なにもかもそれぞれの物語を生きている。互いの物語はときには交差し、ときには激しく干渉しあう。だが、決して同化することは有り得ない。

 たとえ、同じ時間軸を進んだとしても。

 たとえ、同じ事象面にあったとしても。

 それらは決して「同じ」にはなれないのだ。

 どんなに熱く身体を重ね、どんなに深く心を繋ごうとも、同衾する相手と同じ夢を見られぬように。

 しかし、それはあった。

 本来なら同化できぬ夢と夢、物語と物語……。固有の個を集合としての一つとするのではなく、あらたな固有の個として結びつけてしまう力。それを有する存在、言霊の狭間を渡る妖精。

 物語達は空間に解き放たれた書物のようなものだ。

 空間自体が書架であり、それらは解放されながらも列を成してそれぞれの時間軸・事象面ごとに並んでいるという。

 だが、それを知る術はない。

 あるとすれば、あの妖精に触れることだ。

 闇の中の光。

 語るための語り部(ストーリア)。

 言理の妖精

 ───エル・ア・フィリス