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只今きょむはゆらいでおります

2008-07-05

1 剣の国

12:37 | 1 剣の国 - 只今きょむはゆらいでおります のブックマークコメント

毎日、まつりは剣戟の音を聞いていた。

片腕が剣の男と、強さに憧れる男。


右腕を剣と同化していた男は、強かった。

その強さに憧れる青年が、いつも挑みかかっていた。

広場ではいつも二人が戦っていた。

まつりは、二人の戦いを眺めているのが好きだった。

踊るように。流れるように。歌うように。

彼らは、言葉よりもよっぽど正確に、互いの心を伝え合っているようだった。

大きくなったら、私もあの会話に混ぜてもらうのだ。


ある朝、まつりは白い兎を見た。

兎はまつりには目もくれず、何かから逃げるように、

一目散に走り去っていった。


まつりはいつもの広場に向かう。

けれど、いつもの音はしなかった。

男が一人倒れていた。

切り取られたのかなんなのか、右肩から先が、まったく無かった。

もう一人の男は、どこにもいない。


インスパイア

SS(かにさん)

http://dqm.s198.xrea.com/patio-s-huri-/patio.cgi?mode=view&no=1342

「ヒーローソード」(スriceさん)http://hwm5.gyao.ne.jp/laevatain/character/herosword/1.html

「デスキャベツ」(かにさん)http://hwm5.gyao.ne.jp/laevatain/character/deathcabbage/1.html

2 剣葬

13:41 | 2 剣葬 - 只今きょむはゆらいでおります のブックマークコメント

まつりは、片腕のない男を、【炉】まで抱えていった。

弱い者が戦いに敗れて死ぬことは、強い者を生み出す為に必要だ。

死者は、自らが生前使い込んだ無数の剣と共に【炉】に入れられる。

しばらくすると【炉】が稼働して、新しい命と、光輝くいくつかの剣が誕生する。原理は分からない。


でも、この男には剣がない。

右腕を剣と同化させて産まれてきて、それ故英雄と呼ばれ、

それ以来ずっと右腕一本で戦ってきた。

その右腕さえも、殺した相手に奪われたのか、今はない。

このままでは、弔うこともできない。


剣を取り戻そう。

まつりは決心して、旅に出た。