2008-07-05
1 剣の国
毎日、まつりは剣戟の音を聞いていた。
片腕が剣の男と、強さに憧れる男。
右腕を剣と同化していた男は、強かった。
その強さに憧れる青年が、いつも挑みかかっていた。
広場ではいつも二人が戦っていた。
まつりは、二人の戦いを眺めているのが好きだった。
踊るように。流れるように。歌うように。
彼らは、言葉よりもよっぽど正確に、互いの心を伝え合っているようだった。
大きくなったら、私もあの会話に混ぜてもらうのだ。
ある朝、まつりは白い兎を見た。
兎はまつりには目もくれず、何かから逃げるように、
一目散に走り去っていった。
まつりはいつもの広場に向かう。
けれど、いつもの音はしなかった。
男が一人倒れていた。
切り取られたのかなんなのか、右肩から先が、まったく無かった。
もう一人の男は、どこにもいない。
インスパイア
SS(かにさん)
http://dqm.s198.xrea.com/patio-s-huri-/patio.cgi?mode=view&no=1342
「ヒーローソード」(スriceさん)http://hwm5.gyao.ne.jp/laevatain/character/herosword/1.html
「デスキャベツ」(かにさん)http://hwm5.gyao.ne.jp/laevatain/character/deathcabbage/1.html
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