脚のないはてなガラス(BoB flicker side) このページをアンテナに追加

2008-02-28

[]決闘企画用メモ 決闘企画用メモ - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) を含むブックマーク はてなブックマーク - 決闘企画用メモ - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) 決闘企画用メモ - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) のブックマークコメント

Nivさんと屠殺彦さんとの間で決闘記述をやることになったのですが、今回は趣向を変えて企画書対決、ということらしいです。それぞれが企画書を持ち寄って勝負するという。シェアードワールドして物語を書くみたいな話もあったような気がしますがその辺は忘れました。誰か今回の決闘記述のルールをまとめてください。

それはともかく。企画書を書く、というところまでは決まっているので、とりあえずプロローグ部分だけ書いてみました。後でいろいろ付け足します。それでは。

プロローグ

「無意識の悦楽にいたるためには意識の苦悩を経なければならない」

――無銘の碑文――

近未来。シンギュラリティが生み出した巨大知性体イグドラシルは、自己存在と思惟の維持拡大のため、地球全体をフラクタル形状のエネルギー吸収体で覆い、世界に夜をもたらした。地球に降り注ぐ太陽エネルギーと地上から発散される地熱その他のエネルギーとを全て吸収し、それにより駆動し成長し続けるオートマトン。イグドラシルは人々から空を奪った代わりに、ささやかな代償を与えた。それにより、人類は衰退しながらも、なお生き延びることが出来た。やがて人類はその環境に慣れ、中世的頽廃へと滑落していく。人類史における「ネオ・バロック」時代の到来である。

この時代において、人類社会のヘゲモニーを握るのは、イグドラシルとのアクセスに特異な親和性を持つ「オーバーロード」たちであった。彼らはイグドラシルとアクセスし、そのオーバーテクノロジーの一端を得ることで、人類社会内の特権者となった。彼らがイグドラシルより引き出すさまざまな恩恵は、他の多くの人々にとって圧倒的な憧憬を覚えさせるものであり、なおかつ分け与えられたときには大きな利得を生み出すものでもあったからだ。

そうしたなか、ひとりのオーバーロードが、自らの偏奇的欲望を体現した小世界を作り上げる。「ウラニ・ボルク」――天空の城と呼ばれるその小楽園は、創立者たるオーバーロード、ヨハン・アッシェンバハの世界観に拠って統一された意匠を施されていた。ウラニ・ボルクの庭園には人工天体と気象制御装置によって四季が再現され、宮殿内部には無数のオートマタが行き交い、決定論的小宇宙の秩序を作り出している。アッシェンバハは決定論的宇宙論に取り付かれ、その完璧な調和の美を追い求めたがため、このような小世界を作り出したのだといって良い。

そのアッシェンバハが、自らの小世界に他者を招きいれるようになったのはここ数年のことである。彼は孤児院から見目麗しい美少女たちを探してきては「ウラニ・ボルク」の住人として迎え入れるというのだ。多くの一般市民、あるいは貧民にとっては「ウラニ・ボルク」の星のような輝きはまさに栄耀栄華の象徴であり、多くの夢見る少女たちが「ウラニ・ボルク」に迎え入れられる日を待ち望んでいた。

しかしその一方で、アッシェンバハとウラニ・ボルクには黒い噂もあった。「あの館に招き入れられた少女たちの中で、再び外に現れたものはひとりとしていない」――栄耀栄華を極めるオーバーロードへの嫉視反感が生んだ誹謗にすぎない、と切り捨てるにはいささか重過ぎる現実がそこにあった。確かに招き入れられた少女たちは、いずれも外に出てきてはいないのだ。たとえウラニ・ボルクが地上の楽園であり、天に最も近い場所であろうとも――いやそれがゆえに、招き入れられた少女たちはそれを誇るために地上に降臨するものではないのか?

その秘密をあばくために、少年と少女が立ち上がる。姉をウラニ・ボルクに連れ去られた少女は、自らもウラニ・ボルクの招待を受け、それを好機とアッシェンバハの懐へと飛び込もうとする。そして彼女の想い人たる少年は、彼女の決意に打たれ、彼女を手助けせんと、厳重な警戒の中にあるウラニ・ボルクへの決死の侵入を企てる。はたして、ふたりがそこで見るものは何か。ウラニ・ボルクの秘密とは。怪人アッシェンバハの企てる陰謀とは。そして――ふたりは無事に、この魔城から脱出できるのだろうか。

JulieJulie2012/08/14 12:04You're on top of the game. Thanks for shirnag.

awtfiqjmrdlawtfiqjmrdl2012/08/14 23:28yoY49G <a href="http://otwdhklhpwyv.com/">otwdhklhpwyv</a>

nbxhvnqcybnbxhvnqcyb2012/08/15 04:03rHbza1 , [url=http://xwwvpcaqsauj.com/]xwwvpcaqsauj[/url], [link=http://dxgacyxepcho.com/]dxgacyxepcho[/link], http://wowrtrnuwqka.com/

kdalymmtrkdalymmtr2012/08/16 13:31RhtFWa <a href="http://jkaqllizvpyx.com/">jkaqllizvpyx</a>

rkomiaqybrkomiaqyb2012/08/16 19:021Q8saj , [url=http://fxidxgvxuqrx.com/]fxidxgvxuqrx[/url], [link=http://hgritdtfvagx.com/]hgritdtfvagx[/link], http://txcovrxelvzc.com/

2008-01-15

[][紀述][物語]屠殺彦を巡る冒険(外伝)――幸せな結末 [紀述][物語]屠殺彦を巡る冒険(外伝)――幸せな結末 - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) を含むブックマーク はてなブックマーク - [紀述][物語]屠殺彦を巡る冒険(外伝)――幸せな結末 - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) [紀述][物語]屠殺彦を巡る冒険(外伝)――幸せな結末 - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) のブックマークコメント

ゆらぎ市で探偵をやるということは、物語作家であるというのと同じである。というのも、ゆらぎ市において一意的な現実は存在せず、観測者と記述者の相互干渉によって経ち現れるゆらいだ事象を暫定的に現実とみなさなければならないからである。だからこそ、探偵が必要だ、といえる。ありうる可能性の中からあるひとつの解釈を特権的に提示してみせることで、物語を完結させること。それは警察などという無粋な集団ではなく、探偵という特権的存在こそがなしうるものだからだ。

今回の事件は単純なものだった。ゆらぎ市外域の荒野に世捨て人として住んでいた男が突如失踪した事件。付近では屠殺彦が跋扈しているという【観測庁】の警報も出ていたことだし、どうせ外出中に屠殺彦に吸われたのだろう、というのが、警察の予断だった。もちろん私はこれに反対だった。そのような散文的な事実は特権者たる探偵に真実と定義されるにはふさわしいものではなかったからだ。

そこで私は被害者の自宅に脚を運んだ。地平線まで続く荒野の中心に、人を避けて建てられたその小屋は、世を捨てるに十分に孤独な環境だった。そこでわたしは違和感を覚えた。我々は、自身とともに他者とも接することで、複数の観察と記述に曝され、ゆらぎ続ける存在であることができる。【観測庁】のパラノイアたちがいくら現実を一意化しようと躍起になっても、それはゆるがしようのない前提だ。しかるにこの男はそれを峻拒し、自己省察のみをもって自らを一意化しようと試みているかのようであった。そこまでして守られなければならない「自己」とは一体なんであるのか――私は興味を抱いた。

私は小屋の中に入った。住むものを失った粗末な小屋の中は、すでに衰退と風化の兆しをしめしはじめていた。舞い散る埃を払い、窓を開け放ち、光と空気を取り込んで人心地付いた後、私は小屋の中を見渡した。必要最低限の生活を営むための道具が一そろいあるだけの殺風景な部屋。彼には生活をも捨てて自己省察に挑まねばならなかった根源的な理由がある。私はそう確信した。警察の凡庸な想像力では定義できず、故に観察できなかったそれの手掛かりを、私は探した。

そこで私はふたたび違和感を覚えた。このストイックで孤独な環境が、単に自己省察のために――自己のアイデンティティ一意化のためのみに用いられるはずがない。ゆらぎ市内でも、それなりのゆとりがあれば、全くひとりになって他者の観測と記述から逃れうる手段はあるからだ。木賃宿のひきこもり、下水道のホームレスにでもなれば、こんなところに小屋を建てるより簡単だ。では、なんのために?

突如直感がひらめいた。この家は、彼が自らのアイデンティティを一意化するための装置であるのみならず、彼がその視界全てを自己の観測=記述領域にするための装置――すなわち彼の願望あるいは妄想を具体化するための装置であったのではないか? わたしはその仮説の下に、自身の保有する概念【探偵】を展開した。普通ならば他者の観測と記述で打ち消され、狭い範囲で相対的にしか働かない【探偵】が、地平線の果てまで絶対的な効果を及ぼすのを感じ取った後、私はそれを起動した。

ひらり。何もない空間から私の前に、数枚の紙切れが現れ、落ちてきた。あるはずのない手掛かりを、私は観測によって具現化したのだ。私はそれを読んだ。

私は屠殺彦を愛している。あのシンプルで強靭な佇まい、何でも吸う貪婪さ、ただ「吸う」ことのみを求める、雑念のない確固たる主体性。それらは屠殺彦が生命として完成された存在であり、我々人間と対極的な存在であることの証だ。我々は無駄に複雑で脆く、生命力に欠け、意識などという不完全で矛盾したものにより世界を記述し書き換え続けなければ自らの存在すらも危ういし、それゆえにゆらぎ続けている。どちらが優れているか、どちらが美しいか、どちらがより価値があるか、それらは自明の理である。

しかしながら、自明の理を人間にあって守り続けることは極めて困難だ。ゆえに私はこのように世を捨て隠遁した。そして屠殺彦のことだけを思って暮らすこととした。それは単純ゆえの確固たる至福として私を満たした。

そうしているうちに、私は屠殺彦との一体化=「合流」を求めるようになった。屠殺彦グルーピーが行き着く終末の悦楽に、私も囚われるようになったのだ。だが、私はそれに疑問を抱いた。考えてもみるがいい。屠殺彦に愛し「合流」するということは、すなわち吸われるということである。

しかし、むざむざと吸われることをよしとしてよいものだろうか。それは主体的闘争/逃走の権利の放擲であり、屠殺彦への屈服だ。私はそのようなものを求めているのではない。主体的に屠殺彦を愛し、わがものとしたいのだ。屠殺彦の愛情が主体的に吸うことであるならば、屠殺彦への愛情も又同様の姿を取らなければならない――自らも漆黒の意思を持って屠殺彦を吸おうと決意しなければならない。

そうだ。私は屠殺彦を愛している。故に、屠殺彦を吸わなければならない。

それを最後に、文章は終わっていた。ここから導き出される推論はひとつだった。彼は自らの主体性をもって屠殺彦を吸おうと欲し、この「装置」を使って屠殺彦を具現化。そしてそれに愛ゆえの戦いを挑んだのだ。

「ドラゴンを果てしなく追うものは自らもドラゴンになる、屠殺彦を果てしなく追うものは自らも屠殺彦になる、そういうことか……」

私はその紙片にライターで火をつけ、煙草の種火とした。男の愛情も執念も、淡い煙となって空へ広がり、薄まり、消えて、今はもうない。ただ、その愛だけは、確実に確かなものであった。

帰りがけ、地平線のかなたに屠殺彦を観た。どちらが勝ったのかは判然としないが、いずれにしても幸せな結末であったのだろうと、私は思った。

LavonnLavonn2011/09/29 03:44I went to tons of links bferoe this, what was I thinking?

iomrmuxiaiomrmuxia2011/09/30 01:18RYFVmb <a href="http://nufxdjdvntaw.com/">nufxdjdvntaw</a>

laymmojrivlaymmojriv2011/10/01 00:17N5UG1N , [url=http://jscrakndfikc.com/]jscrakndfikc[/url], [link=http://cssfkwlhktgd.com/]cssfkwlhktgd[/link], http://irttenufiyzk.com/

AntonioAntonio2012/10/28 03:16Hahahaha. I'm not too brhigt today. Great post!

hzxtastdehzxtastde2012/10/28 15:125si65H <a href="http://mevcurpihkgt.com/">mevcurpihkgt</a>

lfadtylfadty2012/10/29 09:30bqBVW6 , [url=http://ezduisqrhpsx.com/]ezduisqrhpsx[/url], [link=http://gzyochzpvuov.com/]gzyochzpvuov[/link], http://focrsrlarllt.com/

albyjzfwjtalbyjzfwjt2012/10/29 14:49OaFUiq <a href="http://djaszepclgwv.com/">djaszepclgwv</a>

pwfdhfncpwfdhfnc2012/10/30 21:57KkvWkd , [url=http://xrdzthdvqidj.com/]xrdzthdvqidj[/url], [link=http://gtkhqhjjbfxq.com/]gtkhqhjjbfxq[/link], http://xwnkrotjigwj.com/

2008-01-10

[]謹賀新年 謹賀新年 - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) を含むブックマーク はてなブックマーク - 謹賀新年 - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) 謹賀新年 - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) のブックマークコメント

なんとか無事に新年を迎えることができました。今年もゆらぎの神話の発展のために、微力を尽くしていく所存です。

だから、というわけでもありませんが、屠殺彦氏と言帝陛下との間で「決闘記述」なるものをやることとしました。これは短時間の期限を決め、その間に記述ができるかを競うもので、ぼくにとっては新春初記述です。それではご笑覧ください。

[][]決闘記述「ザリス伝」(お題:「それなりに頑張ったんだからもっと評価しろー!」) 決闘記述「ザリス伝」(お題:「それなりに頑張ったんだからもっと評価しろー!」) - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) を含むブックマーク はてなブックマーク - 決闘記述「ザリス伝」(お題:「それなりに頑張ったんだからもっと評価しろー!」) - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) 決闘記述「ザリス伝」(お題:「それなりに頑張ったんだからもっと評価しろー!」) - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) のブックマークコメント

ザリスの生涯はとにかく惨憺たるものだった。

【紀】を目指す魔術師の家系のもっとも恵まれた子として生まれたにも拘らず、妹にあっさり資質を抜かれて面目丸つぶれ、しかも一族郎党皆殺しにされ、その張本人である妹に顎でこき使われるハメになった、という時点で既にして暗黒のスタートであったが、明けない夜はないという自然の摂理をも裏切るかのように、何をやっても裏目裏目の人生が続いた。

それでもザリスは頑張ったのだ。己の人生が人に誇れ、一族に恥じないものであるように。ザリスは技を磨き、さまざまな試練を達成した。矛盾竜ロワスカーグ討伐、第1次地獄開放事件における地獄の軍勢相手の縦横無尽の大活躍、レストロオセ四十四士がひとりヴェイフレイの失技の再発見と体系化、エトセトラエトセトラ……。いずれも偉業であり、本来ならザリスは英雄としてあがめられても良いはずなのだ。

だというのに、なぜ評価されないのか。なぜ道行く人がすれ違いざまに「ザリス(笑)」「ザリス(笑)」と指射して笑うのか。なぜ彼女と対面したものは目をそらして笑いをこらえているのか。なぜ彼女は数多の酒場の笑話のネタにされているのか。なぜ名を売れば売るほど笑い物にされるのか。

それはひとえに彼女の持つ暗黒エネルギーによるものだった。惨憺たる人生を歩んできたザリスが心の拠り所としてきた妄想や虚喝のひとつひとつが、ザリスの名を貶め、物笑いの種となる原因であった。プラスにマイナスを掛ければマイナスになるように、得られるはずの名声は暗黒エネルギーによって笑いのネタへと変換されていたのだ。ザリスはそれに気づかず、笑いものにされればされるほど、より一層心の拠り所である暗黒エネルギーを高めていった。そしてますます世の笑いものとなっていった。悪循環である。

ついにザリスは病に倒れた。暗黒エネルギーを身にまといすぎたものが患う大病、中二病である。この頃の中二病には治療法がなく、ザリスはもはや死を待つばかりの運命であった。仮にも数々の試練を達成した英雄、見舞いに来るものは大勢いたが、死を待つばかりの病人に向けて「ザリス(笑)」「ザリス(笑)」と指差すさまは到底見舞い客の態度ではなく、見世物を楽しむ観客のそれであった。余りにも不埒な連中の振る舞いに、ザリスは赫怒して叫んだ。

「それなりに頑張ったんだからもっと評価しろー!」

それがザリスの最後の言葉であったという。

MladenMladen2012/02/14 16:31Now that's stlube! Great to hear from you.

odgkbudgxdiodgkbudgxdi2012/02/15 17:10dPJPWK <a href="http://vmfqbpxsuabw.com/">vmfqbpxsuabw</a>

hmwbuyoohmwbuyoo2012/02/15 21:27V14kpo , [url=http://njypoovikdho.com/]njypoovikdho[/url], [link=http://ggwxtgxyauwm.com/]ggwxtgxyauwm[/link], http://gfqfnatnbtjp.com/

fxqyrykufxqyryku2012/02/17 20:51F3vZEs <a href="http://buojhvymbozj.com/">buojhvymbozj</a>

2007-12-24

[][][]クリスマスのクラニス クリスマスのクラニス - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) を含むブックマーク はてなブックマーク - クリスマスのクラニス - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) クリスマスのクラニス - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) のブックマークコメント

/1

雪が降る道をどこへともなくふらふら歩く。きらびやかなイルミネーションもどことなくよそよそしく感じられるのは、また今年もひとりだからだろうか。ポケットに入れたケータイの、着信数は0件で、あいつからのメールも届かない。せっかくのホワイトクリスマスも、あたしにとってはただ寒いだけ。溜息をつくと、白い吐息が暗い空へと上がっていった。

あたしがこんなに寂しいのは、ここがあたしの居るべき場所でないからなのだろう。物心ついたときから、あたしは自分がそうしたものだと知っていた。クラニス。あたしの本当の名前。どこか遠く、ここでない場所に居る71人の不思議な姉妹のひとり。それは胸の中で固い確信になっていて、そうしたものだと当然のように受け入れているのに、誰もそれを信じてくれない。語るたびに人に笑われ、気味悪がれ、遠ざけられて、いつのまにかひとりぼっちになることを繰り返した。だからあたしは、誰にもそれを語らなくなった。ひとりぼっちでいることは、自分を偽るよりつらいことだから。

そうしてからは友達もできた。自分を偽り隠して、上辺だけを取り繕えば、案外どうにかなるものだ。だけどそんなのが本当の友達といえるのだろうか。あたしはそんな疑問を押し殺して、無理に笑ってごまかしてきた。そうしていると彼氏もできた。あいつはがさつで鈍感だけど優しい奴で、あたしにとってはかけがえのない存在だった。だからうっかり秘密を漏らした。あたしはクラニスキュトスの71姉妹のひとり。いつかどこかにいるほかの姉妹たちが、あたしを迎えにくるんだと。

あいつは怪訝そうな顔をして、あたしの話を呑み込んだ。そして云った。「俺には良くわからない」と。それからあいつはよそよそしくなった。廊下で会っても目をそらすし、ケータイにもメールしてくれなくなった。

ああ。あいつにもわからないんだ。そうなんだ。うっかりしてた。これは誰にもわからないこと。あたしだけの真実で、よそから見れば多分妄想。夢と現の狭間のエアポケットにあたしはいて、そこから出ることは叶わないんだ。そう思うと、なんだかとても泣きたくなって、あたしは顔をうつむけた。

「どうしたの、そんな悲しい顔をして」

突然声を掛けられて、あたしは驚き振り向いた。そこにいたのは、髪を赤く染めたあたしと同じ年頃の男の子。きれいな顔に微笑を浮かべて、楽しそうに語りかけてくる。

「こんなところでぼうっとしてたら風邪引いちゃうよ。どうせならぼくとお茶でもしない?」

これがナンパというものなのかな。初めての経験にあたしは戸惑う。でも、その男の子が何故か他人でない気がして、あたしはおずおずと頷いた。

/2

暖色の明かりに包まれた喫茶店。店の真ん中には大きなクリスマスツリー、壁際に掛かるクリスマスリース。あたしと男の子はふたりして窓際のボックス席に。周りの席は男女のカップルばかりで、あたしたちも周りからはそう見えるんだろう。

ショートケーキとコーヒーを注文して、一息ついたところで、男の子が云った。

「クリスマスの本来の意味を知ってるかい?」

「そんなの知ってる。イエス・キリストの聖誕祭でしょ」

そう応えたら、男の子はくすくす笑った。

「それはね、キリスト教がヨーロッパに広がってからのことさ。それより前から、この季節にはかならずお祭りをすることになってたんだ」

「へえ。それは知らなかった。どうしてなの?」

「この季節は1年で1番日が短くなる頃だろ? ちょうど昨日は冬至だったよね?」

そういわれればそうだった。あたしは頷く。

「昔の人々は日の長さで1年を決めてたんだ。だから、冬至の季節には1年の過ぎ越しの祭りをしたのさ。今年は1年頑張ったって自分をほめてあげて、新しい1年はいい年になりますようにって、願いを込めてね」

「へぇ、そうなんだ――」

と、納得してから、ふと気持ちが暗く沈む。クリスマスが過ぎ越しの祭りなら、あたしの今年は本当に最悪の終わりだった。そして多分、次の年も同じように始まって、同じように終わるのだろう。例えそうでないとしても、あたしは自分をごまかし続けて、張り付いた笑顔の下で少しずつ磨耗していくのだろう。あたしがクラニスであることを止めない限り。姉さんたちが迎えに来ない限り。そして――そんなときは、きっと、最後まで来ない。

「どうしたの? 泣いてるの?」

少年が怪訝そうに聞いた。あたしははっとして顔を上げた。気がついたら頬を涙が伝っていた。あたしは恥ずかしさの余り小さくなる。どうしよう、いきなり泣き出したりして、変な子だと思われなかっただろうか。きっと思われたに違いない。あたしはどうしていつもこうなんだろう。そんなことを思ってまた泣きたくなるのを我慢する。

「悲しいことがあったんだね。話してごらんよ。過ぎた年のことはここで落とすのが慣わしなんだから」

男の子がそういうと、あたしの中で何かが切れた。涙がぽろぽろこぼれてきて、堰を切ったように止まらなくなる。泣きじゃくりながらあたしは話した。クラニスのこと。臆病で嘘つきなあたしのこと。そしてあいつのこと。初対面の、何も知らない相手に、あたしはまるで昔からの知り合いであるかのように、一切合財話してしまった。

あたしの話を聞き終えると、男の子は云った。

「大丈夫だよ。彼は君のことを嫌ってなんかいない。ただ少し戸惑っているだけさ。だから気にしなくていい」

「本当に? あたし、こんな変な子なのに。頭がおかしい子なのに」

すると男の子は真顔になった。

「君は別におかしいわけじゃない。それはぼくが保証するよ」

あたしは頭を振って大声を上げる。

「そんなこといって! どうせあたしの話にあわせてるだけなんでしょ?」

男の子はあたしの目を見つめ、静かに云う。

「違う。自分の名前にかけて誓う。その証拠に、きみしか知らないはずのことを云ってあげよう」

そして彼はあたしの耳元でささやいた。あたしの姉妹の長姉の名を。

「うそ――なんでそれを知ってるの。誰にも話したことなんてないのに」

呆然とするあたし。彼は一体何者なんだろう。どうしてそんなことを知っているのだろう。

「だから云ったろう。ぼくは真実を話している。君はクラニスキュトスの姉妹の66番。それに一切の間違いはない――間違っているのは世界と、そして、たぶん、ぼくだ」

男の子は告げる。さっきまでと全く違った、厳粛で、そしてどこか後悔しているような感じで。

「あなたは、いったい、誰?」

恐れと戸惑いを感じながら、かろうじて喉から搾り出した問いに。

「ぼくはアルセス。きみたちがそうなる原因を作った、張本人さ」

苦い笑いを浮かべて彼は応えた。そして言葉を続ける。

「ここは本来の君の場所じゃない。そして、誰も君を本来の場所に戻すことはできない――車輪の女王、ヘリステラの力をもってしても、この辺土に訪れて、君に手を差し伸べることは無理だろう」

あたしは叫ぶ。

「なら貴方が連れてって! ここに来られるなら、連れて行くのもできるでしょう!!」

もういやだ。誰にも信じられずにひとりでいるのも、取り繕った嘘を吐き続けるのも、真実を語って遠ざけられるのも、全部、全部! だけど男の子はかぶりを振った。

「残念だがぼくにも無理だ。ここに出入りできるのは、ぼくの力ではひとりが限界なんだ」

「そんな――」

あたしは高い場所から突き落とされたような気がした。全てが失われていく虚無感に、うつむいて縮こまって耐えるしかない。そんなあたしを、男の子は哀れむような目で見ていた、ような気がする。

ややあって、男の子はいった。

「だけど――最初に云ったように、きみはひとりじゃない。きみには――彼がいるだろう?」

その途端、ここ数日鳴らなかったケータイが、明るいクリスマスソングを奏でた。

/3

『ごめんよ。俺、あの時どう応えていいか判らなかったんだ』

ケータイから聞こえるのはあいつの声。がさつで鈍感で、だけど優しいあいつが、不器用にあたしに話しかけてくる。

『でも――俺はずっと考えてて思ったんだ。おまえがなんであっても、おまえはおまえだ。だったら――おまえが何だって、俺は構わないよな?』

あたしは黙ってその声を聞いている。

『だからさ。せっかくのクリスマスなんだし、云うよ――』

そこであいつは言葉を区切り、

『俺は、おまえが好きだ。おまえがなんであろうと、好きなんだ』

そう、はっきりと云ってくれた。

「――ありがとう」

あたしの声はか細くて、とても嬉しそうには聞こえなかったかもしれない。だけど。本当に本当にうれしくて、あたしは涙をこぼしてしまった。

『おい、大丈夫かよ。泣くなよ。俺がついてやるからさ。おまえ、今どこに居るんだ? 今すぐそこに行くよ』

「ありがとう――ありがとう――」

あたしはそう繰り返す。それしか応えを知らなくて。それしか声にならなくて。涙がぽたぽたこぼれるたびに、あたしの胸にわだかまっていた苦しみが解けて外へと解放されていくような気がした。

そんなあたしの背に、男の子が声を掛けた。

「メリークリスマス、クラニス

振り返るとすでに男の子の姿は消えていた。だけど、あたしは応えた。

「メリークリスマス、アルセス

あたしはもう迷わない。だって、あたしはもうひとりぼっちじゃない。あたしはクラニスキュトスの姉妹の66番目。そして、この世界で生きていく、ひとりの人間。それを彼は教えてくれたのだから。

2007-12-21

[][]さすらいの吟遊詩人デュオ・砂と布巾 さすらいの吟遊詩人デュオ・砂と布巾 - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) を含むブックマーク はてなブックマーク - さすらいの吟遊詩人デュオ・砂と布巾 - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) さすらいの吟遊詩人デュオ・砂と布巾 - 脚のないはてなガラス(BoB flicker side) のブックマークコメント

能力

体力:3(+2)

神経反射:4(+2)

知力:2(+1)

スキル

#水鏡の盾 〔リフレクション〕

霧の防壁 〔シールドミスト〕

陥穽 〔スキルエンスネア〕

安らぎ 〔レスト〕

斬撃 〔スラッシュ〕

スキルパターン

A:地水風風(+水水)

B:剣剣水風(+地風)

C:水水水水水水

プラン

1:霧の防壁は5Lv未満では能動展開維持。剣技は報復・沙羅双樹・霧の防壁を構えている相手には使用しない。

2:基本スキルパターンをAとし、戦闘3ラウンド以降、パターンBに。5Lvでは最初からパターンCで安らぎを使用しない。

#3:戦闘した相手が財宝を持っている場合、その逃走方向に移動する。

成長

1点目:神経反射+1。スキルパターンA、Bに「水」を追加。

2点目:神経反射+1。スキルパターンA、Bに「水」を追加。

3点目:知力+1。プラン3を追加。スキルパターンCを追加。

4点目:体力+1。

5点目:体力+1。「水鏡の盾」を習得。

設定

吟遊詩人デュオ。砂がボーカルで布巾がギタリスト。宇宙的恐怖すら感じさせる音痴と冒涜的なギターテクのためか、歌では一銭も稼げず、主に魚釣りをしてその日暮しで生きていた。しかし魚が公害汚染で絶滅したため、ここ3日間、水とプランクトンしか口にしていない。迷宮には食い物を探すためふらふらと彷徨いこんだ。

秘技「オートエンドレスリフレインリターンリバースリピート」は、チューンのずれたギター(フライングV)で同じフレーズばかりをスラッシュして聞き手の神経を蝕むもの。出会ったものにはこれを聞かせて食い物をねだり、食い物をくれたら返礼としてこれを聞かせる。どのみち聞かされるほうはたまったものではない。また、演奏中に興が乗ると周囲のものをフライングVで殴りつけ始める。とにかく危険である。

「でんでろでんでろでんでんでんでんでんでろでんでろでんでんでんでん♪」

「やめろーッ同じフレーズばかりで気が狂うーッ!!」

メモ

「これちょっとやばくね?」「やばいかも」

元ネタ

トーベ・ヤンソン「ムーミンシリーズ」

ながいけん「ムーミン谷の攻防」