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烏兎紀 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-05-09

ザリスVSニード・モーモ

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 ニード・モーモが最初に目を付けたのは闇桜だった。

 自分より、位の低い獣であれば誰でもよかった。最初に見つけたのが、闇桜だった。自分は十二位。そして闇桜は十七位。

 格好の獲物だ。薮の陰より忍び寄り、襲いかかった。

 リクート・マータには、手も足もなかった。その上、牙もない。鋭いものは何一つ持っていないのだ。ただ頭があり、そして胴だけが異様に長かった。しかし、この胴は変幻である。思うようにしなり、うねった。

 闇桜を襲うときも、この胴を巻きつけた。ニード・モーモの胴は、それほどのことができるのだ。闇桜の両の腕を体と一緒に束縛し、首にまで胴を這わせて巻きつける。胴をきつく締めていくと、闇桜はほとんど抵抗することもなくなった。腕と体が離れないようにしてしまえば、それだけで多くの者は抵抗などできなくなるのだ。

 もうひと締めで、落ちる。そう思ったとき、不意に締めるものがなくなった。闇桜が消えたのではない。自分の胴が、闇桜の体から外れたのだ。胴の先が、尻尾から地に落ちるのが見えた。しかし、ニード・モーモ自身にそのような感覚はない。一瞬も眺めて、ようやく自分の胴が真中から断ち切られたことに気がついた。平らな切り口ではない。あるいは、千切り取られたのか。

 状況を理解しようと、必死で視線を泳がせる。視線の隅に、白い獣の姿を捉えた。矮躯だが、素早い。目ですら、追いつくことができない。そんな獣に、いま自分は襲われている。ニード・モーモが最後に視界に焼き付けたのは、風になびくように揺れる二本の長い耳だった。